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c1962-1964 Wedgwood “Summer Garland”
ウェッジウッド
「サマー・ガーランド」
これはピーター・ウォール作だろう
製作年にも疑問が。古いマーク登場
「リー」の登場はもっと早かった!
「リー」は「クーペ」と共存した
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ウェッジウッドが1962年から1964年にかけて製作・販売した「サマー・ガーランド」(Summer Garland)の未使用トリオ。出品者はこれが好きで、随分前に複数取り寄せて出品していました。
ポツリ、ポツリと売れ、1セットが残って最近まで棚ざらし状態。もともとあまり知られてないパターンだったのですが、「リー」ファンの目に留まってようやく完売。普段の未使用品取り寄せ先の在庫もなくなったので、暫くこのリーは頭から無くなっていました。
出品者がウェッジウッドのデザイナーについて、特に戦後滅茶たくさんのパターンを作ったヴィクター・スキレーン、ミリセント・タプリン、ピーター・ウォールの3人の仕事を確定できないかと、変にマニアックになって取り組んだのは最近のこと。
有名な「ハサウェイローズ」もこの「サマー・ガーランド」も作者は知らず、追求する気もなかったのに、「ハサウェイ」はP.ウォールデザインに間違いないようだし、1840年代の「エレーン」という希少なピオニーもその絵からピーター・デザインと分かったりで、小さな手ごたえを感じていました。
この「サマー・ガーランドは雰囲気がスプリング・モーニングに似ているからピ-ターのデザインだろう」と凡その当たりは付けていました。
この度それを確信したのはこのトリオを取り寄せたおかげ。カップ底のバックスタンプは「黒壺にゴールドのレタリング」で、1962年から1972年まで使われている。これまで手にしたカップも全てこのマークであった。
ところが。ソーサーと17㎝サイドプレートのバックスタンプはそのマークの目の前。グリーンの壺に3段のレタリング。中の段のBONECHINAの幅が短く、3段目のMADE IN ENGLANDが最も長い。これは1928年から1949年まで使われたもの。
つまり、「サマー・ガーランド」は、表題に記した期間ではなく、もっと昔にデビューしていたことになる。ピーターがウェッジウッドに在籍したのは1958年から1968年と記録されていますから、早ければ、1958年に「サマー・ガーランド」は作られていたことになります。
もう一つ大きな疑問。出品者は色んな資料の解説を読んで、「リー」は「クーペ」の後継カップとしてV.スキレーンが戦前にお蔵入りしていた「リー」を引っ張り出してきたのだろうと出品者は最近断定的に書きました。彼が「リー」に光を当てた点は間違いないと思うが、「リー」と「クーペ」は、リーの再デビューから、並行して使われていた。そう考えるしかないと今、思っています。
「サマー・ガーランド」に「クーペ」が存在したなら、どうなるんだ。そう疑問を呈される鋭い方がおられるかもしれません。しかし、それはないと思われる。このシェイプの「クーペ」の写真は何処にもない。見たことはありません。
勿論、それだけが理由ではありません。丁度、別から取り寄せた「チャーンウッド」(Charnwood)のリーのトリオのバックスタンプを見て、リーが登場した年代と、「クーペ」が先に出来ていたパターンではないということが裏付けられたのです。
このチャーンウッドはカップ&ソーサーとサイドプレート全てのバックスタンプが先述の「1928年から1949年まで使われた」マークであったのです。チャーンウッドにも「クーペ」は作られていなかった。因みに、ボーンチャイナのチャーンウッドは1951年から1987年まで作られたと取り寄せ先の資料にあります。これは正しそうです。
チャーンウッドについては、古いアースウェアのティーポットとデュオ2客を手に入れました。皆さんご存知のボーンチャイナのチャーンウッドはアースウェアのものと少し絵が違います。まあ、リライトなんですが、誰がリライトしたか。そう、やはりスキレーンです。「またか」という声も聞こえます。しかしそうなんです。この件は、ボーンチャイナと、アースウェアを同時出品してつらつら長い話を作り上げようと考えています。
勝手な感想ですが、ピーター・ウォールが「サマー・ガーランド」の後で「ビーコンスフィールド」(1956年)、{スプリング・モーニング}(1959年)をデザインしたということだと、この順も納得できます。皆様に異論がなく、ご同意いただけるならば、出品者は「サマー・ガーランド」をピーター・ウォール作として自分のメモ帳に記録しようと思います。
女性の皆様はご存知でしょうがSummer Garlandは、いわゆる「リース」の如き、花や実を繋いだ輪っかのこと。Summerと言うからは、夏の花や実を繋げるのでしょう。
「ガーランド」の歴史は意外にも古く、紀元前2000年頃の古代エジプトでは、神殿の柱や神の像、儀式の生贄の動物に巻かれていたことが壁画で伝えられており、世界最古のフラワーアレンジメントとも言われているそう。
その後、ガーランドはギリシャ・ローマに伝わり、神事だけではなく、お祝いごとでの装飾品としても使われるようになります。恋人同士でガーランドを贈りあうロマンチックな習慣もあったそう。
私たちにとっても馴染み深いクリスマスリースも、短いガーランドを輪にしたものがギリシャで生まれたのがきっかけだと言われています。
植物を使った装飾品といえば、「スワッグ」というスタイルもあります。スワッグは、「花や葉っぱがついた枝を束ねた壁飾り」を意味し、ひも状に繋がったガーランドとは異なり、花束のような形状をしています。
夏の花の爽やかさが描かれています。ガシッとした木の実に、小さな淡い水色の花。これは現実の花なんでしょうか。花を描く天才・ピーターが作り出した夏の花では。
カップの高さ6.5cm、口径8cm。ソーサーとサイドプレートの直径はそれぞれ、14.5cm、17cm。バックスタンプは混合ですが、未使用でストックされてきたものです。取り敢えず1点。もう一つ可能性がないではない。
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